研修生その後・・・

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研修生から独立してその後実際の有機農家になったみなさんをご紹介します!

○茅ヶ崎八一農園 衣川 晃さん(2017年研修生)
〜両手を目一杯広げて守る5反の地球 手作業で営む小さな農園〜

○久保寺農園 久保寺 智さん(2011年9月~2012年12月研修生)
久保寺さんの畑へ相原農場一行が伺いました

○みらくる農園 木田 恵美子さん(2009年度研修生)
9年目、ますます農業が好きになる!

○やまなみ農園 鈴木 貴さん(2012~2014年3月研修生)
基本は提携 夢は有機部会

○べじたろう農場 今井 虎太郎さん(2003年研修生)
課題は多くても日々楽しい農家暮らし

○柿右衛門農園 柿田 祥誉さん(2013年1月~2014年7月研修生)
「食」と「農業」を繋ぐ架け橋になりたい

○久保寺農園 久保寺 智さん(2011年9月~2012年12月研修生)
人の少しの手助けと少しの道具でできるシンプルな農業を

○ 遊亀農園 服部 成史さん(2008年度研修)良い作物を作りたい!

○島次郎農園 豊島亮太さん(2010年9月~2011年8月研修)
農業を一緒に盛り上げていきましょう!

○みらくる農園 木田恵美子さん(2009年度研修生)夢を思い出して進路変更!

○平塚市 臼井勝之さん(2007年度研修生)10年後めざすはダッシュ村!
↑↑↑
記事を読むにはクリックしてください。

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○茅ヶ崎八一農園 衣川 晃さん(2017年研修生)
〜両手を目一杯広げて守る5反の地球 手作業で営む小さな農園〜

茅ヶ崎八一農園衣川晃さん

茅ヶ崎里山公園からほど近いところに位置する茅ヶ崎八一農園の衣川晃さんからお話しを伺いました。

—農園の概要を教えてください

就農3年目、面積は現在、畑を5反と相原農場の田んぼ 約1反をお借りしています。

無農薬・無化肥 、動物性堆肥も不使用です。使用する機械は刈払い機のみ。手作業での不耕起栽培にこだわったお野菜セットを月80セットほど各ご家庭にお届けしています。消費者の方と顔が見えて会話ができる関係を大切にしているので、面識のない方との提携は一度畑に来ていただき直接お会いしてからにしています。

—農家になろうとしたきっかけは?

八一農園お野菜セット

僕たちは現在 VEGAN ですが、5年ほど前にお肉を食べなくなった事をきっかけに自分たちが食べる野菜を自分で作れないかと考えました。

その頃、友人のおじいちゃんの畑にお手伝いに行く機会をいただき、里芋を収穫させてもらったのが凄く楽しかったんです。それとおじいちゃんの鍬を持つ姿がとにかくカッコ良くて純粋に影響を受けたのもきっかけの一つです。そのおじいちゃんは現在92歳で今も元気に自転車で畑に向かっていますよ。

そして、その日を境に自分も畑に立ちたくなり、その友人のご家族にお願いをして自分たちの小さな家庭菜園スペースをお借りできたのが第一歩でした。

おじいちゃんの畑は慣行栽培でした。僕たちは自給用だったので農薬は使わなかったのですが、化成肥料を使うと僕ら素人がやってもすぐに立派な野菜ができました。

今思えばそのおかげで野菜作りの楽しさを体感できたのもあったと思います。

そしてもっと広い畑でやりたいなと思うようになりました。と同時に農家でないと農地を借りられない事を知ったのです。

もともと海でサーフィンを通じて自然と触れ合っていたり、ミュージシャンとして環境問題などにも向き合ってきた結果、VEGANと言うライフスタイルにたどり着いたのもあって、自分たちがやりたいのは「有機農業」じゃないかな?と思い検索したところ、相原農場の存在を知りました。

農業をやってみたい!と思うのは簡単ですが、果たしてその気持ちが本物なのか?を確かめる為に真夏の暑い時期に幾度と援農に行ったのを覚えています。そして研修生になることを決心しました。

また、相原農場のホームページで不耕起栽培をしている久保寺さんのことを知り、その記事を見て興味を持ち、週1回久保寺農園さんへも通わせてもらうことにしました。

久保寺さんの畑で作業をした初日には直感的にこれをやりたいんだって分かりました。今こうして農業をやれているのは恩師である相原農場と久保寺農園のおかげです。本当にいつも感謝しています。

茅ヶ崎一農園

不耕起栽培について教えてください

僕が言うまでもないので詳しくは久保寺さんのページを参照してもらえればと思いますが、基本的に畑を耕耘しません。肥料は米ぬかベースの自家製ボカシとそこに生える草です。草はお野菜の生育に合わせて管理し、根を残して刈ったものをその場に敷いたりしてゆっくりと土壌を豊かにしていくことを大切にしています。

微生物の力で野菜を育てていくこの農法は、生育がとてもゆっくりですし、見慣れた野菜に比べると小さかったりもしますが、その分じっくりと育つ味の濃さや、力強さが魅力だと思います。

自然のリズムやペースに合わせれば合わせるほどお野菜に宿る『エネルギーや美味しさ』は自然と付いてくるものなのかもしれないなぁと考えさせられます。

僕たちのテーマでもある劣化した土壌を再生させる農業としても不耕起栽培は自分にとってそれを解決する一番効率の良い「手段」と考えています。

相原農場での研修はいかがでしたか?

相原農場のお母さんからは1970年代の有機農業運動の話を聞き、僕たちはその影響をとても強く引き継いでいます。僕たちが提携にこだわるのもそのためです。

成行さんからは技術的なことはもちろん、普遍的な農家の心や姿勢なども学ばせていただきました。相原農場で研修出来たことは僕たちにとってかけがえのない財産となっています。

これから就農する方たちにもぜひ学んで欲しいことが沢山詰まっている農場です。何より相原農場の歴史には唯一無二の価値があると思っています。

—奥様は不耕起栽培で農業をやることをどう思っていますか?

茅ヶ崎一農園衣川晃さんご夫妻
奥様の木綿(ゆう)さんと

私たちは最初から畑を一緒にやってきているので今もその延長線上にいるんです。就農してからは、収入的にあわてないですむように、私は勤めに出ていますが、今は月に一回の「農園だより」を描いたり、休みの日に一緒に作業しています。近い将来に2人で専念できるようにイメージして計画的にやっています。

手作業での不耕起栽培は「楽」で「便利」を追求する世の中の価値観に逆行するような営みですが、自然のリズムに寄り添っていく厳しさや心地よさの中に「豊かさ」や「幸せ」があるような気がします。

人からはよく「大変だね」と言われることも多いですが、私たちはそれを「楽しいね」って思えるのでこの生き方が自分たちらしくて大好きです。

茅ヶ崎一農園農園だより
はちいちのうえん便り

茅ヶ崎八一農園 https://81farm.organic/

(2021年1月取材)

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「久保寺さんの畑へ相原農場一行が伺いました」
久保寺農園 久保寺 智さん
(2011年9月~2012年12月研修生)

久保寺農園1
2015年9月にお話しを伺ってから早3年。

(その時のお話の記事はこちらでご覧いただけます↓↓

「人の少しの手助けと少しの道具でできるシンプルな農業を」
久保寺農園 久保寺 智さん(2011年9月~2012年12月研修生))

2019年1月、久保寺さんの畑へ相原農場一行が伺いました。

久保寺さんは、基本的に畑は耕さず、肥料は極力外から持ち込まず、畑に生えてきた草や、そこに存在する生物たちが育んでくれるエネルギーを利用しながら野菜を作っています。

耕さなくても草の根が土を柔らかく耕してくれるからなのか、ゴボウのような地中深くに入るようなお野菜もよく育っています。除草は作物が草に覆われてしまわない程度、必要最小限に留めているようで、実際に草の管理作業をする時は、草の根を土の中に残して刈り、刈った草は“草マルチ”として作物の周りに置くことを基本としています。

「草マルチは、徐々に作物にとっての栄養分にも変わっていっている」とのことで、それは年数を重ねるごとに、安定、増加していて、明らかに土壌を良い状態に変化させてくれているようです。
「そのお陰様もあり、年々土が豊になりさらに良い野菜が収穫できるようになってきた」とおっしゃっていました。

「色々な草がたくさん生えていた方が土壌の環境が豊かになるであろうと考えていますので、基本的には自然に任せて多くの草を生やします」とのことで、「これはダメ」という草は特にないようです。

コウブシやネズミムギのような大敵扱いされるような草も、共生していけるように努めているようです。

「草や草の根が土の湿り気を保ってくれるので、夏場でも土が乾燥することはなく、生物が住みやすい環境が常に守られているような気がします」

「不耕起栽培の土には微生物が多いので、時間は掛かっても野菜はよく育ちます。じっくり育つからか、大根なども鬆(す)入りが遅いです。」

「草の勢いを見たらそこの土地のだいたいの地力が分かるようになってきたような気がします。草が教えてくれる情報量はとても多いと思っています。ですので、草の状態を見てからそこに何を作付けるのかを決めることを基本としています。それが僕の一番信用しているデータです。」

などなど、その他にも色々な興味深いお話を聞かせてくれましたが、中でもとても大切にされている思いが、「低依存物、低エネルギーで成り立つ、環境インパクトの少ない農業が、農業の一つの形として存在し続けられるような未来を夢みている」というものでした。

久保寺農園2

相原 成行さんの感想
—寺さんは研修中から目の前に生じる物事を受け止めることのできる人だという印象がありました。自分なりの解釈を持ち、決してネガティブにならず進んでいく生き方のできる人です。そんな彼の生き方がそのまま現れている畑だと思いました。
受け止めるのは受け入れるのとは違います。しっかり観察した上でより深く考え、対策を練っていることがよくわかりました。草に対しても、種類に応じて手の入れ方(付き合い方)を変え、作付けの株間や条間も野菜に合わせていました。
また、支柱キャッチや、マルチ代わりの防草シートの利用など、手間をかけるところとかけなくても良いところを見極め、時間を上手に使い作業していました。
各圃場にはブルーシートで何かくるんでありました。支柱などの資材です。一回一回持ち運ぶ手間もかからないので良いアイデアだと思いました。
有機農業も生き方だ!という思いでやってきましたが、今回久保寺農園を訪れてその思いをより強く持ちました。久保寺智その人を感じることのできる心地良い畑でした。

相原(父)さんの感想
—最近肥料がありすぎて大根が太らず、葉ばかりになることがあります。大きく育ちすぎる野菜もあります。自然の中での適正サイズとは何か、考えさせられます。その点大きくなりすぎない不耕起栽培の野菜が適正サイズなのかもしれません。
多少生育が遅くても、慣行農家と同じように野菜ができているので、この農法は素晴らしいと思います。
先生がいなくて、この農法を自分で考えながらやっている寺さんはすごい!

 

 

相原(母)さんの感想
—私は寺さんと考え方は全く一緒です。雑草は大事にしたいし、なるべくなら生やしておきたい。けれど、昔は「草を生やすのは怠け者」という時代。なかなかそうも行かなかった。
昔、有機農業を始めたときは、やる人は少なく、言って見れば点でしかありませんでした。しかし、今では有機農法でやる人は多くなってきました。
不耕起栽培も、今は点でも、きっと発展していくと思います。今日、こんなにきっちとやっているのを見て、感心しました。

久保寺農園3

現在、久保寺さんの畑は7枚で、全部で5反だそうです。
「今のところ、この広さで経営的にもちょうど良い広さ」だということです。
上の写真↑は、イノシシが出て、穴を掘られたしまった所に、ダンポールを立てておいたら、その後はイノシシが現れないそうです。

「ダンポールの位置は時々変えたり、穴を掘られた所にはすぐ刺したりするようにしています。それがいつまで有効なのかはわからないけれど、イノシシの臆病で環境変化に敏感な性格をうまく利用し、共生できる方法を見つけられると良いなと思っています」とのことです。

また、「電気柵を張ったりするのも良いかもしれませんが、その管理も大変ですので、シンプルな方法でなんとかなるならそれに越したことはありませんからね」ともおっしゃっていました。
このように、ちょっとしたことでも自分の頭で考えて工夫している久保寺さんです。

最初、不耕起無施肥栽培と聞いて、「そんなことが可能なのか!?」と思いましたが、実際に久保寺さんの野菜は立派に育っていて、セット野菜も順調な売れ行きです。食べさせていただくと味わい深く美味しい野菜ばかり。調べてみると、不耕起栽培は科学的にも非常に有意義であることが実証されつつあることがわかりました。

時代の最先端を自ら切り開き研究し続けている久保寺さんにはぜひこのまま頑張って道を究めていただきたいとエールを送りたい気持ちになりました。

久保寺農園4
久保寺家にて

久保寺農園 http://www.kuboderafarm.com/

久保寺農園 Facebook Pageはこちらから→www.facebook.com/kuboderafarm

(2019年1月取材)

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「9年目、ますます農業が好きになる!」
みらくる農園 木田 恵美子さん(2009年度研修生)

横浜市の十日市場駅からすぐの木田さんの畑でお話しを伺いました。
前回この企画でお話しを伺ってからちょうど7年。

7年前のインタビューはこちらから↓
○みらくる農園 木田恵美子さん(2009年度研修生)夢を思い出して進路変更!

—–どんな7年間でしたか?
みらくる農園2-1

前回のインタビューの数年後、規模拡大を視野に入れたいと思い、ペースを上げて作業して腰を痛めました。また、その秋に元々予定のあった道路工事が本格化して段階的に畑をお返しすることになりました。
他の農地を探しましたがなかなか見つからず、腰の調子も思わしくなく「もう農業はできないのか?」と思い本当に辛い時期を過ごしました。でも逆に「やはり農業を続けて行きたい!」という気持ちが再確認出来ました。
その後、とても良いお話をいただきましたが、それまで耕作していた面積とほぼ同じ広さのため、耕作面積がほぼ倍になります。「できるのか?」と不安でお借りしたいと意思を固めるまで数日間まともに寝られずに考えました。
お借りできたのは4月の農繁期。全てが休耕地だったため、通常の作付等の作業と並行して、畑に戻す所から作業が始まりました。かなりハードな日々でした。

現在、周りの農家さんからも良くしていただき、籾殻や稲わらを頂いたり、同じ日にジュースやお菓子の差し入れをそれぞれ別の人からいただいたり・・・いつも赤い服を着ているので「赤いねーちゃん」と呼ばれています。 笑
腰は整骨医で良くなり、現在も定期的に通うようにしています。
今年の3月で農地の全面的な移転が完了しました。今は田んぼ5a、畑約7.3反を耕作しています。移転前の田畑の面積のほぼ倍になりました。農地が近くてまとまっておりとても助かっています。周りの人達も暖かいです。以前の農地のことを思うと残念ですが、今までの経験を無駄にせずに今後に生かしてきたいです。

—–販売先はいかがですか?
みらくる農園2-2

就農から3年くらいは販売先の開拓に苦労していました。コンテナ3杯のナスが売れずに余って困ったこともありました。また比較的農作業の落ち着く11月~2月に前職の経験を生かして経理のアルバイトをしていたこともありました。
今は、野菜の作付け時期を少しづつ変えて収穫時期が分散できるようにしたり、お客さんの紹介で新しいお客さんが増えたり、またHPからの問合せもあります。

十日市場から自宅の狛江までの間で配達、納品したり、宅配便にも対応しています。お野菜を取っていただいている方は、一般のご家庭やレストラン、店舗さんです。有機野菜がもっと身近になってほしいという想いから、セット野菜だけでなく品目ごとの注文も受け付けています。
最初からずっと野菜を購入してくださっているお客さんもおり、私が腰を痛めたり畑を移転したりしてもついてきてくださることには感謝しかありません。

—–農業を目指す人へメッセージをお願いします。

農業にゴールはありません。
これができたら終わり、というものではなく、今年は上手くいっても来年も上手くいくとは限りません。
私は、来年はどうやっていこう?と考えるのが面白くてたまりません。
農業がやりたかったし、好きだったからこの仕事に就きました。年々ますます農業が好きになっていきます。
毎日の作業は大変です。
「好き」でなければ農業は続きません。

近所の方々との関わりも大切です。
草管理は、自分の畑よりも、畑の境やのり面の草刈りを優先したり、自分から挨拶をするように心がけています。周りの方々は本人が農業にどう取り組んでいるのかを思った以上に見ています。

また社会人としての経験は非常に役に立ちます。農家は生産も販売も事務などもやらなければなりません。経営者になるということです。私も8年間会社勤めをしましたが、その経験は今でも役に立っています。

—–これからの夢は?
みらくる農園2-3

この地域で農業を続けて行くことと、この地域に関わっていくことです。今までは農地の移転で自分のことでいっぱいいっぱいだったので、これからは、お世話になっているこの土地や人に、小さなことでも何かお返しできたらと思っています。

本当に今まで周りの方々に助けられて今の自分があると思っています。
そして就農した地域で目一杯頑張っていくことが相原農場への一番の恩返しになると思っています。

みらくる農園 詳しくはこちらから

(2018年11月取材)

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「基本は提携 夢は有機部会」
やまなみ農園 鈴木貴さん
(2012~2014年3月研修生)

やまなみ農園1
本厚木駅からバスで20分、 荻野地区にある、やまなみ農園の鈴木貴さんにお話しを伺いました。

—–就農してから何年になりますか?

就農してからは3年半ですが、厚木に越してきてからは2年半です。

—–どのくらいの面積を耕作していますか?

有機栽培で8反ほどです。その他に、地元のJAと協力して、耕作放棄地解消のために、6反の畑で、津久井在来種大豆と地粉うどん用の小麦を作っています。これはJAの直売所で売る地元産の豆腐やうどんを作るのに使われます。残念ながら未だ慣行栽培ですが、ゆくゆくは、有機栽培でやることができるように、JAと連携していきたいと、考えています。
現在はJAに入って、JAあつぎ 荻野支所の青壮年部部長 を任されています。 と言っても、部員は5人で部長は順番で回ってきます。笑  でも、部長をやっていると、JAのトップに直接お目にかかる機会があるので、有機栽培について、直接伝えることができました。JAでも興味を持っていただけて、今年の研修は自然栽培米に取り組んでいる石川県の「JAはくい」に行くことが決まりそうです。

—–農業をやろうと思ったきっかけは?

元々、農業には興味がありましたが、就農の決心はつかず、高校卒業後、IT企業に就職しました。海外での生活も1年間経験し、帰国。すぐ就農の決心はつかず、介護の仕事に就きました。そこで、東日本大震災を体験して、圧倒的な敗北感を味わいました。人間の弱さを感じました。そして、仕事を辞めて職業訓練校に通ったあと、相原農場で研修して、就農しました。

—–なぜ、慣行農業でなく、有機農業を選んだのですが?

東日本大震災を受け、持続可能な生活を見直し 、農業においてそれを実践しているのが 有機農業 だと考えたからです。

—–野菜の販売方法は?

30家族と提携して、野菜セットを取ってもらっています。直接、自分で野菜を配達しています。宅配便は使っていません。地産地消ということを考えると、自分が配達できる顔の見える範囲への出荷が、一番だと思います。距離があるところへは、その近くの仲間を紹介して、そこから野菜セットを取ってもらうようにしています。
厚木のショップやレストランにも出荷していますが、自分の中での基本は提携です。配達して直接、喜んでもらえる顔を見られると、うれしいです。
野菜の「美味しさ」とは何だろうと考えることがあります。やはり顔の見える関係、お互いの信頼関係が、「美味しさ」の一部ではないかと思います。
野菜セットのお客さんをもう少し増やしたいです。
そして今後は畑で人が集まれる行事、例えばお花見など、をやれるといいなと考えています。

—–農業をやっていて、一番の苦労は何ですか?
やまなみ農園2
毎週、野菜セットの野菜の種類を切らさずに出荷することです。今年は、畑を厚木に移してから、まだ2年目なので、畑の感覚がつかめず、野菜セットに2週間お休みがでてしまいました。それから、この畑では獣害はありませんが、北の方の畑では、鹿と猿がでます。カボチャや大豆がやられたり、人参が全滅させられたりしました。被害がなかったのは、里芋だけです。有機農法は雑草がでるので、電気柵を使うのは管理が大変です。また、電気柵をやったから安心、と言う訳では無く、電気柵もすぐに壊されてしまいます。
以前はこの周辺では猿は出なかったそうですが、最近は宮ヶ瀬方面から降りてきた子連れの20匹ほどの猿の群れが2つもあります。この周辺の農家の悩みの種です。

—–これからの夢は何ですか?

新規就農して5年経過した段階で、売上等の課題はありますが認定農業者の申請を行いたいと思っています。もし、これに認定されれば、相原農場と同じく、研修生を受け入れることができます。研修生を受け入れて、ここ荻野地区に就農してもらい、JAで有機部会を作るのが夢です。

—–これから就農する人にアドバイスを
やまなみ農園3
奥さまが描いた絵(家族3人)で作った出荷用シール

私はいろいろな仕事を経験してから就農しました。それは、無駄ではなく、仕事上での人との付き合い方を学ぶことができました。就農するということは、地域に入るということです。農業だけやっていれば良い、という訳にはいきません。私は、消防団に入ったり、地元の神社の御神輿を担いだりしていますが、そういうことを、地域の方々は見てくれているようです。
私もここに骨を埋める覚悟でいます。就農する人も、ぜひ、その土地で生きていく覚悟をもって、地域を盛り上げてほしいと思います。
私もまだまだ、売上、利益 など十分では無いですが頑張って農家としてやっていきたいと思います。

やまなみ農園Facebook Pageはこちらから→https://ja-jp.facebook.com/Yamanamifarm/

(2017年11月取材)

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「課題は多くても日々楽しい農家暮らし」
べじたろう農場 今井 虎太郎(こたろう)さん
(2003年研修生)

べじたろう農場1
奥さまの睦(むつみ)さんと
 

伊勢原市で有機農業を営んでいるべじたろう農場の今井虎太郎さんにお話しを伺いました。

—–どのくらいの面積を耕作していますか?

田んぼ350a、畑150aです。祖父が農業をしていた土地が20aほどありますが、あとはお借りしている土地です。25歳から農業を始めて今年で12年目になります。

—–農業をやろうと思ったきっかけは?

海外青年協力隊に興味があって、海外に農業を教えに行きたいと思いました。そこで、有機農業をしている埼玉県小川町の風の丘ファームというところに研修に行きました。なぜ有機農家にしたかというと、協力隊で行く海外は農薬など買えない環境のところが多いだろうから、有機農業が適していると思ったからです。
実際に研修をしてみると、楽しくて、農業にとても興味が湧いてきました。また、若い自分が海外に行き技術指導ができるのだろうか、という疑問と共に、人に教えるよりも自分でやりたくなってきました。
そこで、東京農大に学士編入して2年間勉強してから、相原農場で研修をして、有機農家になりました。
相原農場での研修も、楽しみながらやっていましたが、今にして思うとすごいことでした。当時の自分は何もわからずに、ただで働いているような感覚もあったのですが、研修生を受け入れ、教えていくことがどんなに大変なことなのか、今の自分はよくわかるようになりました。

—–野菜の販売方法は?

セット野菜を週に40軒宅配しています。また、お米を、やまゆり生協で販売しています。マルシェなどに出荷することはほとんどありません。
興味を持ってくれた方を対象に、月1回援農デー「畑の日」を開催しています。毎回多くの方にご参加いただいて、農作業や昼食、時にはパンを焼いたりお餅をついたりと、楽しい一日です。以前は90名も参加されたこともありましたが、このところ10~20名に落ち着いています。来てくださるのは毎回だいたい同じ人なので、昼食を作るのも手伝ってもらえて、私達も楽しくやっています。
べじたろう農場2

—–奥さまは農業をやることに反対しなかったのですか?

夫とは大学時代からの付き合いです。今は4歳の息子を保育園に預けて毎日農作業をしています。夫は最初は消防士になると言っていたので、農家になってからしばらくは、「消防士にならないの?」と聞いていました。(笑)
今は、農家が楽しくなってきたので、これで良かったと思っています。
もくもくと何も考えずに農作業するのは楽しいです。自分がやればどんどん畑が綺麗になっていくのは掃除と同じで、達成感があります。

—–これからの課題は何ですか?

日々楽しいのですが、技術的なことは上手く行かずに納得できないことも多いです。
課題は、田んぼの雑草、堆肥場の整理、施設の整理など色々あります。
田んぼの雑草に関しては、一回稲作を転作して大豆を作り、その後また稲作をすると、驚くほど収量が上がり、雑草も抑えられます。この方法はとても良いのですが、大豆の売り先に困ることが難点です。大豆を利用した味噌造りなど、方法を模索しています。
べじたろう農場3
—–農業をやろうかどうか迷っている人にアドバイスを

どうせやるなら早く始めた方が良いでしょう。1年間迷っていますなどいう人もいましたが、考えてないでやろう、と言いたいです。
生活は、どの程度の生活を望むのかはわかりませんが、贅沢をしなければ大丈夫です。
農家は自由な時間が多く、ご飯も朝晩家族一緒に食べることでき、家族でいられる時間が長いです。
就農する際に大切なのは、家です。農機具が置けて、出荷作業などができる広さがある家を確保できるかどうかが重要だと思います。
畑はできればまとまっていた方が良いですが、今は農家が高齢化して空いている田畑が増えてきているので、農地の確保はできると思います。
消費地に近いかどうかにこだわっていても、家がアパートなどだとてても不便で、せっかく農家をやっていても、田舎暮らしを楽しむことができなくなってしまいます。

—–これからの夢は何ですか?

伊勢原も農家がどんどん高齢化して、作業する人がいない田畑が増えてきましたが、私達でこれ以上の田畑を耕すことは難しいです。本当にやる気がある人が伊勢原に来てほしいです。農業組合法人などを作り、施設や農機具を共同利用することができたらいいなと思います。

べじたろう農場のホームページはこちらから→http://www.vegetaro.com/index.html

べじたろう農場日記はこちらから→http://www.vegetaro-farm.cocolog-nifty.com/

べじたろう農場Facebook Pageはこちらから→https://www.facebook.com/vegetaro.hosaku/

(2016年9月取材)

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「食」と「農業」を繋ぐ架け橋になりたい
柿右衛門農園 柿田 祥誉(よしたか)さん
(2013年1月~2014年7月研修生)
柿右衛門農園1

藤沢市遠藤地区で有機農業を営んでいる柿右衛門農園の柿田さんにお話しを伺いました。

—–農業をやろうと思ったきっかけは?

普通のサラリーマンでしたが、夫婦で「大豆レボリューション」というイベントに参加したのがきっかけです。三浦の農家さんに通い、有機栽培で大豆を育てて味噌作りまでをやり、地域の食文化、都市と農村について考える、というものでした。
その後は、自分達夫婦が中心なって2012年から「イマジン自給道場」という、塩とお米と大豆を自給して完全自給の味噌をつくる事をコンセプトとしたコミュニティーを立ち上げました。
その頃には、有機農業で生きて行きたいと夫婦で話すようになりましたが、なかなか会社をやめる決心が付かず、妻の「いつまで悩んでいるの?」という一言に背中を押されて、2013年から相原農場の研修生になりました。
ちなみに、会社をやめてから子どもが産まれることがわかりましたが、順序が逆だったら、決心がついたかどうかわかりません(笑)

—–どのくらいの面積を耕作していますか?
柿右衛門農園2

畑6ヶ所で一町歩と、田んぼ3ヶ所で3反です。お借りしている土地で、すべて自宅から車で5分以内にあります。広さは充分です。

—–家や畑、田んぼを借りる上での苦労はありましたか?

藤沢市内で「イマジン自給道場」をやる際に、田んぼをお借りした地主さんから、家を借りることができ、その後、人づてに話が来て、十分な広さの農地をお借りすることができました。
「挨拶」が大切です。周りの人は、自分たちが思っている以上に見ています。挨拶、お中元、お歳暮はきちんとしています。挨拶回りには子どもも連れて行くので場が和み、助かっています。
「雑談」も大事です。若者が露地で農業をやっているといろいろな人に声を掛けられます。この土地の気候の特徴や、地域のことなど教えていただき、仲良くなった人がたくさんいます。中には2時間も話していく人もおられますが、雑談の時に、畑を借りたい旨など話しておくと、そのうちに良い話を持って来てくださったりします。ありがたいことです。信用を得てから入ったので、良い条件で農地をお借りすることができました。

—–野菜の販売方法は?
柿右衛門農園3

野菜セットを46軒のお客さんに、月にのべ98セット宅配しています。
それとマルシェでの販売の他、オーガニック食品店やレストランにも出荷しています。

—–農業をしている上で大切にしていることはありますか?
柿右衛門農園4

相原農場での研修で、人との繋がりが大切なことを学びました。人とのつながりも有機なのですね。
いろいろな人に畑に来てもらって、土に触れてもらう機会を増やしたいと思っています。
野菜が育っていく姿は美しい、ということを、私も「大豆レボリューション」に参加する前は知りませんでした。現在は、「食」と「農業」が離れすぎています。それを近づけたい、そのためには畑に来て農業を知ってもらいたい、畑で純粋に感動してもらいたいと思います。野菜は規格外のものも美味しい、など、いろいろな気づきがあると思います。

—–これから農業をめざす若者にアドバイスを

サラリーマンに比べると労働時間が長く不規則で、対価は低いです。
その代わりに、喜びは大きく、やりようによっては楽しいのが農業です。

私は意識して「頑張りすぎない」ようにしています。自営業なので、仕事はきりがありませんが、余裕が無くなると人の話も聞けなくなってしまうので、頑張りすぎません。家族との時間もなかなか取れないのが現状ですが、夕食は必ず一緒に取ります。年末には家族旅行をしたいと思っています。

サラリーマン時代に仕事としてwebを使っていたのでホームページ作成や Facebookへのアップなどは苦になりません。
今年から経理は、クラウドの会計ソフトに変更してとても楽になりました。
昨年度の確定申告の時には何日か徹夜したのですが、今年は大丈夫そうです。

—–今後の夢は?
柿右衛門農園5

現在、妻は会社員ですが、2年くらいして農機の購入が終わったら、2人で専業農家としてやっていく予定です。
農園を大きくしようとは思ってなくて、今後はより人が来やすい農園にしたいと思っています。農園を中心としたコミュニティーができ、お客さんとは野菜の売り買いだけでなく、良い関係を築いていけたらと思っています。

柿右衛門農園のホームページはこちらから→http://www.kakiemonn.com/

柿右衛門農園 Facebook Pageはこちらから→https://www.facebook.com/kakiemonfarm/

(2016年5月取材)

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「人の少しの手助けと少しの道具でできるシンプルな農業を」
久保寺農園 久保寺 智さん
(2011年9月~2012年12月研修生)

久保寺農園1

就農して3年目になります。小田原の西部と二宮町に畑を借りています。耕作面積は約5.5反ほどです。セット野菜を個人宅に20件ほどと、レストランに使ってもらっています。また、収穫状況によってはイベント販売、直売などでも売らせてもらっています。

私は畑を耕さない「不耕起栽培」を行っています。
畑の中の虫や草などの生き物の幅が広ければ広いほど、豊かな畑の状態だと考えていますので、なるべく生き物の調和を崩さないようにする為にこの方法をとっています。草は基本的になるべく生やし、ある程度以上の高さにならないように管理します。刈る時は根を残して刈り、刈った草は地面に寝かしておきます。それを繰り返すことにより草や草の根が少しづつ土を豊かにしてくれます。虫もなるべく多くの種類がいると嬉しいです。虫も役目を終えると土の養分になってくれます。なるべくそこに存在する生き物を大切にしたいと考えています。
また「極力畑の中に存在するエネルギーで農業を」「人の少しの手助けと少しの道具でできるシンプルな農業を」ということをモットーとしているのでトラクターなどの機械は使わず、基本的な作業は人力で行います。唯一、使う機械は刈り払い機のみです。
ゆくゆくはこれもなしにできたら最高ですね(笑)
ですので、元手や維持費などは普通の農家さんよりは少ないかもしれません(笑)

私は就農前は農業とは全く関係のない業種で働いておりました。
久保寺農園2
20代後半頃に毎日がしっくりこない、仕事をしていても充実感がない…というような感覚を感じるようになりました。もともとアウトドアスポーツが好きで、自然の中にいることが大好きだったこともあり。次第に「自然に溶け合えるような生き方ができないか?」と思うようになりました。そんな漠然とした思いを抱えながら、ふらふらと人生を進めて行くと、ひょんなことから農作業を体験させてもらえるご縁をいただきます。この時はまさか自分が農業で生活していくことになるなんて思いもしませんでしたが、いつの間にか農のとんでもない魅力にのめり込み、気づけば「農をもっと知りたい!!」という風になっていました(笑)
もともとやりたいと思ったことはとにかくやってみようと突っ走るタイプなので、「もっと知りたい!!」と思ってからは、すぐに仕事を辞め、農業修行の旅にでていました(笑)
妻とはもともと趣味が一致していて、私が「農業修行をしたい!!」「農業をやりたい!!」と言っても反対しませんでした。とても感謝しています。
久保寺農園3

全国各地のいくつかの農家さんを巡り、ある時は住み込みで働かせてもらったり、ある時はお話を聞きに、慣行農家、果樹園、有機農家、「農業とはどんな世界?」ということを知りたい一心で方々を約一年かけて訪ね歩きました。そこで得た数々の体験、情報は今の自分の農業感にも大きく影響を与えていますので、本当に素晴らしい経験をさせてもらったなと思っています。
その旅の中で、本気で農業で生活していきたいという強い決心が固まったのをきっかけに相原さんの所に相談に行ったのが、相原さんとの初めての出会いになります。
相原農場での研修はとても充実していて、本当に多くの学びをいただきました。志の高い人たちが集まり、皆が家族のように触れ合う姿にはいつも本当にあたたかい気持ちにさせられたものです。今でも行くと、いつもあたたかく迎えてくれるので、家に帰ってきたような気持ちになります。

農業をやっていて嬉しいことは沢山ありますが、その中でもやはり一番嬉しいのは、食べてもらった方の声を聞くことです。料理を作って人に出した時に反応が気になるのと同じです(笑)
それが例え改善点の指摘やネガティブな感想だったとしても、それはそれで自分を高めるための貴重な意見ですので、大切に受け取ります。

農業をやっていて大変で苦しい瞬間は今までも沢山ありました。一時期はこの方法にこだわるのはやめようか?と自分に問いかけ続けていた時期もあります。
しかし、たまたま出会った助言や情報が良い方向へ導いてくれたり、急に作物がしっかり穫れたりなど、「苦しいな…」と思うポイントポイントでいつも助け舟がきてくれます。「まだこの方法を続けて行っても大丈夫だよ」と言われているような気がして現在も続けることが出来ています(笑)
運が良いだけなのかもしれませんが、結果的に今でも大好きなことを続けられていることに本当に感謝しています。

私は農業を始めてからまだ3年目なので、まだまだ農業者としても未熟ものです。
久保寺農園4
作付けしたものも5割もとれないこともざらにあります。本当にまだまだです。
私の農業スタイルだとそもそもの生産量もそこまで多くないので、もっと歩留まり率を上げることは最大の課題ですが、見方を変えるとまだまだ幅の広い伸びしろをしっかり感じますので、経営的にもこれでやっていけると確信しています。
もともと私の農業スタイルは費用があまりかからないこともあり、経営だけでみれば黒字経営です。
会社に雇用されていた時代に比べると少ない収入ですが、妻と1歳半の娘と生活することに不安はない程です。食べるものは自給できるものが多いですし、もともとそんなに使わないというのもあるかもしれないですが、今の経済状況でも十分に幸せな暮らしを楽しむことができています。
今は子どもが小さいので妻は子育てがメインで農作業は基本的に私が行っていますが、今後、妻が農業を手伝ってくれる時間が増え、私自身もさらに成長することができれば、利益も今後、1.5~2倍にすることも十分に可能だと感じています。
農業に興味があるけれど、収入が心配という人もいるとは思いますが、一歩を踏み出してみると意外と色々と見えることも多く、可能性も広がるものです。
農業をやってみたいけれど二の足を踏んでいる人はとりあえずのもう一歩を踏み出してみることをオススメします。
興味のある農家さんに話を聞きにいったりするだけでもいいんだと思います。
まずは現場や農業者の声を肌で感じてからの自分の心の声を聞いてみてください。

久保寺農園 http://www.kuboderafarm.com/

久保寺農園 Facebook Pageはこちらから→www.facebook.com/kuboderafarm

(2015年9月取材)

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良い作物を作りたい!
遊亀農園 服部 成史(なりふみ)さん
(2008年度研修生)

遊亀農園1
 就農して7年目になります。
秦野市で7反の畑と自家用の田んぼ1反を耕作しています。野菜は市内15軒のお客さんに配達しています。 また、JA直売所で時々販売、飲食店にも使ってもらっています。秦野市は自然が豊かで過ごしやすいところですが、丹沢に近く、 鹿やイノシシに畑を荒らされて大変です。年々食害のレパートリーが増え、じゃが芋は葉を、人参は葉も根も全部食べられてしまいます。
電気柵とネットで対応していますが、ネットだけだと入られてしまいます。毎年オス鹿が角を絡ませて身動きできなくなっています。今年からイノシシも出没するようになってしまいさらなる対策が必要です。遊亀農園2
農業をやって一番大変なことは、良い作物を作るのが難しいということです。
作物は病気もあり害虫もいます。やはり、良い堆肥を入れてやらなければ虫が食ってしまいます。
良い堆肥を作ることが重要であり、かつ大変で難しい事です。
逆に一番うれしいのは、良い作物ができてお客さんに喜んでもらえたときです。私が有機農家になったのは、37歳の時です。
自然食品を扱う会社の営業などをやっていましたが、利益や効率を求める社会とはまた別の生き方もあるのではないか?という思いと、自給自足にあこがれる思いがあった時に、福岡 正信さんの自然農法の本を読みました。感銘を受けて実際に愛媛の彼の農場に行き、10ヶ月働いてみました。
その後、紆余曲折を経て、36歳の時に相原農場で週2日、秦野農業塾で週1回の研修を1年間やり、就農しました。
私としては有機農家は自分に合っていると思っています。もし有機農業をやろうか迷っている人がいたら、まず、農業をやっている人達に実際に会って話を聞くことが大切です。いろいろな人の話を聞くことで、きっと自分の道も見えてくることでしょう。相原農場での研修は楽しいものでした。研修生や縁農など多くの人が集まる農場で、集まる人もまた個性的な人が多く、友達もできました。相原さんの家族も暖かく、アットホームな環境で、毎回の昼食もとても美味しかったです。有機農業の経営ですが、トラクターや電気柵を購入したので、現在は赤字の状態です。
しかし、最初のお客さんが6年間も野菜セットを購入し続けてくださったりして、やり甲斐があります。 3年前に結婚し、2歳と0歳児のパパでもあるので、今後も有機農家として野菜を作り続けて行きたいと思っています。
遊亀農園3

遊亀農園ブログはこちらから→http://yuukinouen.cocolog-nifty.com/blog/

(2015年5月取材)

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農業を一緒に盛り上げていきましょう!
島次郎農園 豊島 亮太さん
(2010年9月~2011年8月研修生)

 島次郎農園1
就農して4年目になります。
茅ヶ崎里山公園の北側に畑があります。そこから5分以内のところに6ヶ所の畑と田んぼを耕作しています。野菜は、セット野菜を25件の個人宅に、茅ヶ崎野菜の会の方達にも各週で出荷しています。
また、毎週土曜日の朝は「茅ヶ崎海辺の朝市」に、第三日曜日の朝は”ふじさわやさいを作る仲間たち”として、エコモや色々なイベントに出店しております。就農して大変なことは、2~4月の冬場野菜を確保することです。夏場と比べると野菜の種類も量も少なくなってしまいます。毎年、こんなにできないんだ・・・と愕然としてしまいます。
経営的にも、夏場は黒字、冬場は赤字で、生活費や各種税金などを差し引くと年間を通して少し黒字が出る程度、といった具合です。新規就農者はやはりハード面で相当なハンデがあるので、そこを乗り越えるための資金繰り、しっかりと野菜を作って売り上げを伸ばしていかなければと思います。島次郎農園2

 有機農家になったきっかけは、23歳の時に2回目のオーストラリア留学をしたときのことです。
大学4年で留年した自分は、ただ就職することに嫌気がさしてしまい、小さいころから大好きだったラグビーを思う存分やろうと、ラグビー留学しました。
その時に、たまたまバナナ農家でアルバイトをしました。そこで農業の素晴らしさを知り、日本に帰って農業をしようと決意しました。

なぜ農業の中でも有機農家になろうと思ったかというと、亡くなった母が、やまゆり生協という自然食品を扱う生協に入っていて、その食品を食べて育ってきたからです。農業をやるのなら有機農業と自然に決めていました。

島次郎農園4

大規模農業で農薬や化学肥料を大量に使うというのは例外として、地場野菜を作って最初の一回のみ農薬を使うなど、気を使って作っている限りは人体には農薬の影響はそんなに無いかもしれません。
でも、土壌にいる目に見えないほど小さい微生物などには、一回の農薬散布が限りなく大きな影響になるはずです。全ての生き物は繋がっていて、お互いに何らかの影響があります。
私が有機農業を続ける理由は、人間にとっての安心安全というよりは、環境への影響を考えてのことです。生物多様性を維持するためにも、有機農業で行こうと思っています。

農業をやっていて良かったと思う時は、夏の暑い日に、日が落ちた時です。私の畑のある谷戸一面がピンク色に染まる瞬間がとても美しく、幸せを感じます。

素晴らしい仲間がいっぱいできたことも幸せです。

これから就農を考えている人に言いたいことは、「農業を一緒に盛り上げていきましょう!」ということです。

一般の人達にとって、地場野菜が食べられるのは、一番良いことです。
私は今後も地場野菜を作っていきます。

島次郎農園3
農業には無限の可能性があります。
いつか、収穫した野菜の加工場を作ったり、加工品を売ったりしたいと思っています。
相原農場のように、いろいろな人が集える農場にしたいとも思っています。

就農をめざす皆さん、私もまだまだ夢の途中です。 一緒に夢に向かってがんばりましょう。

(2015年4月取材)

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夢を思い出して進路変更!
みらくる農園 木田 恵美子さん(2009年度研修生)

木田恵美子さん2011-1

8年間OLをしていましたが、自分の夢を思い出して、進路変更しました!
環境問題に関心があり東京農大に進学し、いつまでも永続的に安心して耕作できる土壌を残していくことは有機質を使った土作りが不可欠であり、今を生きる自分たちの使命だと感じるようになりました。卒業後、すぐに就農を望みましたが、様々な状況により断念しました。しかし、たまたま同窓会が何度か重なり、「自分がもともとやりたかった事は?」と思い出し、就農をめざすことになりました。 相原農場での1年間の研修は作業だけでなく、農業をやりながら生きていく様を学ばせていただき、女性でも安心して研修できる環境でした。相原成行さん、お父さん、お母さん、有機農家を志す仲間や、援農の方達は、とても気さくで楽しい方達であったからだと感謝しています。皆さんとのご縁は、私の宝物です。

木田恵美子さん2011-4

就農を決意しても、研修後すぐに農家になれるわけではありません。農地の確保、販売先の開拓等、課題は山積みです。横浜市の場合は、農地の確保のために、「認定就農者」の認定が必要です。これを受けてやっと農地を借りる資格ができます。この書類作成は大変な作業でした。この時私がほとんど寝ずに書類を書き上げる姿を見て、就農に反対していた主人が、応援するようになってくれたのは嬉しいことでした。

木田恵美子さん2011-2

農地を確保するのは大変でしたが、想いを伝え続けることで、皆様のご協力、ご縁があり、道が開けていったような気がします。現在は都筑区に畑30a,田んぼ4a,緑区に畑10aを借りて耕作しています。畑の境はとくに気をつけて、畑全般的にも極力雑草の草丈を高くしないように心がけています。若い娘!?が通って畑をやっていることが奇異なのか、いろいろな方々がお声をかけてくださいます。プレッシャーにもなりますが、有難いことだと思います。

また近くに家もない過酷なところに、援農にきてくださる方々もいます。毎日ほぼ一人で作業しているため、励まされ、とても感謝しています。

木田恵美子さん2011-3

今の悩みは福島原発による放射能問題です。
見えない放射能には、どうして良いのかわかりません。土作りに資材を選び、堆肥をつくるのか、とにかく外部からもちこまないように今の田畑の規模で緑肥を導入するのか、常に悩み続けています。しかし、野菜を購入し続けてくださるお客様のため、そしてお借りしているとはいえ、耕作している農地を農地として維持していくため、これから先どんなに悩もうと有機農業を続けていきます。

同じ横浜市で農業を志す人達もいます。その方々のためにも、自分がしっかりやっていかなくてはならないと思っています。体力的、精神的にも厳しいことはたくさんありますが、それ以上に毎日が楽しく、とても農業が好きだから、これからも頑張っていきます!


みらくる農園
 詳しくはこちらから→ http://miracle-farm.biz/
直売は原則毎週水曜日10:00~12:00
狛江市猪方1丁目15-4 レストラン プティ・クー駐車場にて

(2011年10月取材)

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10年後めざすはダッシュ村!
平塚市 臼井 勝之さん(2007年度研修生)

臼井 勝之さん

勤めていた会社を中途退職して、農業に人生を方向転換しました。1年間相原農場で研修し、2年目は自らの畑で実習。3年目の今年から、お客さんに出荷するようになりました。現在は宅配と家の前での無人直売所を運営しています。もちろん有機野菜です!

苦労するところは、栽培は無論の事ですが、借りている畑4箇所がそれぞれ離れていて、移動に時間がかかることです。消費者参加型農業(CSA)を目指していますので、里山で新たな圃場を探しています。

臼井さん2

また、山の畑のイノシシには頭を悩まされています。柵で囲わないとイモ類やカボチャなどは作れません。隣の畑の薩摩芋は全滅させられました。金網を張るだけでは不十分です。イノシシに飛び越えられてしまいます。金網の上部を外側に折り返すと下から見上げるイノシシには高く感じられるようで、効果があります。

1年間の相原農場での研修は、種蒔きから収穫、出荷までの一連の作業を体験することができ、非常に勉強になりました。驚いたのは多士済々の人たちが集まっていることで、就農希望の若い女性が多いことには二度びっくりしました。
相原農場には園主の人望、ご家族の暖かさに加え、人を引きつける何かがあると思います。「ここに来るとほっとする」という訪問者の言葉が印象的でした。

 

研修期間は1年では短く、できれば2年間くらいは必要だと思います。自分でやってみるとそのことが良くわかります。アレッと立ち止まることがしばしばで、そのたびに師匠の成行さんにお世話になっており、未だ研修中であります。

就農して感じることは、農作業は一人では難しいということです。妻には週2回ほど手伝ってもらっています。力はありませんが、いっしょに作業すると2人前が3人前になります。美味しいと喜んでくれる人、これはダメと叱咤激励してくれる人が傍らにいることは何よりも励みになります。

臼井さん3
※写真提供:臼井勝之さん

地域の人たちとのつながりも大切だと思っています。一人よがりの有機農家にならないよう気をつけています。草だらけの畑は有機栽培を象徴するような光景ですが、一般の農家はそうした畑を嫌います。理屈はともあれ、いやなものはいやなのですから、隣地との境は草ボウボウにならないよう気をつけています。あちらの話を良く聞き、こちらの話も伝えることで、有機栽培に対する理解を深めてもらえるのではと思っています。

思いは農業を核とした里山環境の保全です。ゆくゆくは昔の農家のように、味噌、醤油、梅干しなども自給自足し、作業をみんなで楽しめるような、「ダッシュ村」を作りたいですね。やりたいことは山ほどありますが先ずは地固め。生産の安定と利用者の拡大を第一目標にがんばります。
年齢的に後10年を一区切りと考えています。可能ならば気の合う仲間といっしょにできればと思っています。

素敵な仲間と地域を作り、緑豊かな里山が残り、心温かな人の輪ができる。小さな試みの点が線になり、面になるといい!と思います。

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臼井さんはサラリーマンと農業を比べてみて、両方とも大変、とおっしゃいます。
しかし、以前サラリーマン時代には健康診断では、かなりの項目で引っ掛かっていたのに、農業を始めてからは全て異常なしの健康体になったそうです。
また、 毎日好きなことをやっているので、サラリーマン時代にはあんなに待ち焦がれていた休日を必要としなくなったそうです。
今後ともどうぞご活躍ください!

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※臼井さんより写真についてのコメント:キャベツ、ハクサイなどは害虫対策としてネットを使用しますが、どこからともなく侵入されます。完璧ではありません。作付け予定地を夏8月頃、ビニールシートで覆い、1ヶ月ほど太陽熱処理すると効果があるように思えます。今年はさぼったので、ヨトウムシに侵入されてしまいました。写真手前目の花はマリーゴールド。

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